技術経営ろぐ

大学院で学んだことを書いていきます

理科大MOTでは誰と、何を、どのように学ぶのか?

前回 までのような経緯で無事に東京理科大 専門職大学院 イノベーション研究科 技術経営専攻(以下理科大MOT)に入学を果たすことができた。 今回の記事では、理科大MOTにはどんな人がいて、どんな授業をどんなふうに学ぶのか書いていきたい。

どんな人と学ぶのか

今年の新入生は70人、一番若い人でも20代後半、一番年長の方だと60近い方もいる。一番のボリュームゾーンは40代前半くらいだろうか、そういう意味では私は「若手」の部類だろう。学生の中には企業から学費を全額出してもらえる企業派遣で来ている人もちらほらいる。学費の捻出について悩まなくていいのは羨ましいが、一方で出席率や成績も会社に開示されちゃうので真面目にやらないと後々大変そう。企業派遣できている人は、(たぶん)企業内の選抜を勝ち抜いたり、将来を嘱望される幹部候補なんだと思う。

勤めている業種でいうとやはり最も多いのは製造業のようだ。製造業といっても超大手メーカーから中小企業まで様々だが、大手メーカーの人は研究所や開発部門などの「ザ・理系」みたいな職場が多く、中小企業の場合はすでに社長とか経営企画とか、ふだんの仕事でも経営にかかわる人が多いようだ。

ちなみにIT系の企業からきている人は実はそんなに多くはない。この辺りはやっぱりIT系の技術職の人たちはあんまり経営的なポジションで仕事をしている(またはしたいと思っている)人が少ないということが影響しているのかもしれない。今後はIT技術者もこういう場にどんどん来るようになるといいなと個人的には思う。

人数的には少ないけれど人事部門の人もちらほらいる。日本企業では人事部門が長期的な会社の経営に関与することも多く、技術系の会社の人事にとってもMOTは有益なのだろう。

どんなことを学ぶのか

理科大MOTのカリキュラムについてはホームページに詳しく掲載されているが、特徴は学術系の先生(Academic)、実務家出身の先生(Business)とコンサルティングファーム出身の先生(Consulting)のA-B-Cがバランス良く講義を担当していることだろう。

学術系では何と言っても理科大MOTの看板教授である伊丹敬之教授の存在感がすごい。伊丹教授の担当する「経営戦略」は理科大MOTに来たからには絶対に受講すべきとまで言われるほど素晴らしいそして容赦ない講義だという。

実務家出身の教授陣もスゴイ。IBMマイクロソフトで要職を歴任した田中芳夫教授東芝で液晶開発の最前線にいた坂本正典教授、同じく東芝元CTOの東 実教授などである。どの先生も技術をいかに価値に変えていくかということをビジネスの現場で実践してきた方々だ。技術系の実務家だけではなく、ファイナンスのプロである幸 富成教授が教鞭をとっているのも理科大MOTの特徴ではないだろうか。幸先生の授業は技術経営を志す人にとって必要なファイナンスについて、非常にわかりやすく、かつ経営におけるファイナンスの本質的な部分を学ぶことができる。

コンサル系の教授としては「セレンディピティ」を執筆した宮永博史教授の存在が大きいだろう。宮永先生が担当する「コンセプト創造論」「新事業開発論」はどちらも基幹科目であり卒業後に科目履修することはできないので理科大MOTに入学したら必ず履修すべき講義のひとつだ。毎回内容の濃いケース資料と教科書を熟読し、A4用紙3枚のレポートを授業の数日前の朝必着で提出しなければならないだけでなく、授業の場でも常にストレッチした脳みその回転を要求される。まるでライザップにでも通っているような感覚になる。そして、それだけ身につくことは多い。

ただし、前述の伊丹先生の講義と同じタイミングで受講するとレポートに追われて酷いことになるため、理科大MOTではこの二人の教授の講義は「混ぜるな危険」と言われている。

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どんなふうに学ぶのか

講義は月曜日から土曜日までの週6日開講している。月曜日から金曜日は18:30〜20:00(6限)と20:10〜21:40(7限)の2コマである。土曜日は朝9:00から夕方まで最大6コマの授業がある。授業によっては2コマ連続で全8回のクオーター制のものと、1コマ授業を15回というものもある。場所はいくつかの例外を除き神楽坂PORTAの5階で行われる。

授業の雰囲気は座学を中心とするスタイルや、グループワークが主体の授業など先生によってだいぶ違う。いくつかの授業ではテーマに関連する業界の有識者がゲストスピーカーとして登壇する場合もある。授業で勉強しているテーマについて、実際の現場で活躍している方の話は生々しくて面白い。ゲストスピーカーではないが、MOTの修了生が科目履修生または潜りの受講生として参加していることもある。さらに、授業の後には、神楽坂の居酒屋で先生やOBも交えた「8限」の講義が行われることも少なくない。ある修了生はMOTに通った2年間の飲み代が80万円にも達してしまったというほど飲みニケーションが盛んなのだ。

理科大MOTに興味がある方は

先日、今年の理科大MOTの公開授業・体験授業のスケジュールがホームページに掲載されたので、興味のある人は予約して参加してみるといいと思う。公開授業に参加するともしかしたら私もその場にいるかもしれない。今、公開されているもの以外にも、毎年やっているイブニングセミナーとか今年から始まるという噂の短期集中型MOTセミナーなどもあるので、詳細が知りたい方はFacebookとかTwitterで直接ご連絡ください。

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